ママフル365コラム 外出時などの対話から学ぶ『折り合いのつけ方』
強い日差しが降り注ぎ、夏、真っ只中ですね。ここ数年、なかなか夏休みの思い出を作れる状況ではありませんでしたが、今年は夏休みにお出かけの計画を立てられている方も多いことと思います。家族で遠出をしたり、しばらく会えなかった人に会いに行ったりと、イベントが増えることでしょう。そこで、今回は子どもと一緒にお出かけをする際に心がけたいことについて、少しお話したいと思います。
泣き止むためにもきっかけが必要
出先でぐずって泣いている子どもの姿はよくある光景です。その中でも、周囲の大人が向き合わず、子どもが泣きっぱなしという光景をたまに見ることがあります。特にまだ言葉を上手く発することのできない2~3歳までの時期は、色々な感情を思うように伝えることができず、泣くことで発散することがあります。そんな時は、子どもが泣き疲れるまで待つのではなく、「泣きたくなっちゃったね」と気持ちを受け止め、「悔しかったんだね」「痛かったんだね」「怖かったんだね」と、泣いている感情がどんな想いからきているのか?本人も意識できるようなコミュニケーションをとることを大切にしてほしいです。また、子どもは泣き疲れたら泣き止むでしょうと思いがちですが、泣くきっかけがあったように、泣き止むきっかけもあるはずですよね。特に3歳以降会話ができるようになったら、長泣きはさせないで、本人の気持ちを言語化したり、他のことに気をそらさせたりするなど、大人が泣き止むきっかけを作ってあげることを覚えておくと、外出先で大泣きをした時にも対処できるかもしれません。
一緒に向き合い、対話で折り合いをつける
今年は、コロナ禍以前のスタイルで運動会を実施していたところも多くありました。やはり一生懸命練習したダンスや競技を披露してくれる場は、子ども達の成長を目の当たりにできるよい機会です。徒競走やリレーなどの競技では、どうしても1等賞や最下位の子どもに目がいきがちですが、2等賞や3等賞の子も悔しい気持ちと向き合っているのだと思うのです。「あともう少しだったのに・・・」という悔しい気持ちに折り合いをつけるのは、子どもにとってなかなかハードルの高いことです。心の葛藤との折り合いのつけ方は、周囲の大人との対話で学んでいきます。悔しかった想いや寂しかった想いをしっかりと受け止め、言葉にしながら心と身体をコントロールすることを身に着けられれば、間違いなくこの後の成長に役に立つことでしょう。
相手と向き合い、自信をつける
ここ数年は、様々な制限の中で、対面で会話する機会が減っており、「きちんと相手と会って話す」ことが少なくなっているように感じます。大人になっても嫌なことや腹の立つことに向き合うことは、とても難しいことですよね。中には自分の気持ちをコントロールできずに大きな声を出したり、場合によっては心にもないことを発言して相手を傷つけてしまう、なんてこともあるかもしれません。大人も子どもも、自分や相手と向き合うことは、自分を一回り成長させてくれる大切な機会になることでしょう。向き合うことができるようになれば、自信もつき、自信がついてくれば、自ずと自分の気持ちをコントロールできるようになっていきます。子どもとしっかり向き合い、お互いに色々な気持ちを伝え合い、乗り越えることで一緒に成長できる、そんな素敵な夏休みを過ごせるよう願っています。
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山本 直美 プロフィール株式会社アイ・エス・シー 代表取締役/NPO法人子育て学協会 会長
- 日本女子大学大学院修士課程修了。
幼稚園教諭を経て、1995年株式会社アイ・エス・シーを設立。幼児教室や保育園運営を通じ25年以上保護者と子どもの育ち合いに携わっている。絵本を活用した独自の教育プログラム『WithBookプログラム』を、自社を中心とした各保育園にて展開し、子どもたちの「こころ」と「ことば」を育んでいる。また2008年設立のNPO法人子育て学協会にて、子育ての専門家『チャイルド・ファミリーコンサルタント(CFC)養成講座』や子育てのヒントを学べる『子育て学講座』等、各種講演・講座を開催している。
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